勝訴ストリップ
●総検証
全作詞・作曲 椎名林檎
2000年3月31日発売。オリコン初登場第1位!
「無罪モラトリアム(MM)」に続く
「勝訴ストリップ(SS)」2発目アルバムです。
55分55秒と総収録時間(ノンストップ)にもこだわった
林檎さんらしいお茶目なところがあります。
13曲収録で7曲目の「罪と罰」を中心に曲が
対称(シンメトリー)に配列しているところはさすがです。
ところで、このアルバムは、
1999年の夏にもうすでにレコーディングが完了していた
アルバムでもあります。
アルバムのタイトルの由来は、
「罪と罰」でB.J.Cの浅井氏(ベンジー)がギターで参加してくれたことに林檎さん自身「ベンジーのギター勝ち取った!」という意味を込めて「勝訴」となったそうです。
「ストリップ」の方は、「何も取り繕うことなく、媚びることもなく、頑張って作った、真っ裸の私」を指しているそうです。
内容は、前作とは違い、叙情的な要素や客観的な虚構やタナトスがなく、主観的ストレートな感情をぶつけ続ける音楽になっております。
そしてなりより、前作との大きな違いは、
「音」と「曲の流れ」です。
林檎さん自身、各雑誌で「音のこだわり」について答えてますが、今回はコンポを大音量にしても、そんなにうるさく感じさせない、どこかやわらかく、優しい(HAPPYな)気持ちしてくれる、不思議な感覚を味あわせてくれます。
「曲の流れ」では、今回は曲と曲の間にポーズを入れず、ノンストップで進んでいます。
これが、前作の1曲1曲に味がある歌謡曲とは違い、「勝訴ストリップ」自体が、音楽の全体であり、
その中の1曲1曲は、ただの要素、部分であり、まるでオーケストラの組曲みたいな仕上がりになっております。
なお、今回も前作と同様、ベストアルバムとして素晴らしい・純粋な作品に仕上がっています。
聴いて泣いちゃった人や全然わけがわからなかった人やなんか幸せになった人や不思議な感覚(覚醒)になった人は、それはもうすでに林檎音楽の虜になってしまっています。

●勝訴=裁判用語で、訴訟に勝つことを意味する。
       反対語は、「敗訴」。
      ここでの、ホントの意味は、
      <総検証>を読んでね(^^ゞ
●ストリップ=(英strip)、女性が踊りながら、
         衣装を一枚ずつ脱いで裸体になる演芸。
         歌舞伎町やピンク系では、
         有名な言葉で有り、
         その女性を「ストリッパー」と呼称する。
         ここでのホントの意味は、
          <総検証>を読んでね(^^ゞ
<おまけ>
ストイシズムを歌おう!
もちろん耳コピのため間違い多数かも・・・・・・(笑)
なお、途中の歌詞にある
Aメロ「でんよとんゃち〜を〜えまなのしたあ〜」と
Bメロ「でいなさいあを〜いめひなんおふ〜」
は、「罪と罰」の歌詞を逆さにしたもの。

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あ♪ああ♪あ♪ああっあ♪ああ×4

でんよとんゃち〜を〜えまなのしたあ〜

ララララ〜あなた〜あなた〜
ルルル・ルきれい〜きれい〜ドシラソファ
ララララ〜すてき〜すてき〜
ルルル・ルきらい〜きらい〜ドシラソファソ〜

こっちもってくるとかさぁ!
アクセル!アクセル!ブレーキ!ブレーキ!
アクセル!アクセル!ブレーキ!ブレーキ!
アクセル!ブレーキ!ブレーキ!アクセル!

パーキング!

あ♪ああ♪あ♪ああっあ♪ああ×4

でいなさいあを〜いめひなんおふ〜

ララララ〜つよい〜つよい〜
ルルル・ルきれい〜きれい〜ドシラソファ
ララララ〜よわい〜よわい〜
ルルル・ルきらい〜きらい〜ドシラソファ

ララララ〜あなた〜あなた〜
ルルル・ルきれい〜きれい〜ドシラソファ
ララララ〜すてき〜すてき〜
ルルル・ルきらい〜きらい〜ドシラ〜
レシレ!

MC 大丈夫なの?今ので?

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虚言症
<検証>
”あおぞら”以前、16歳の時(高校時代)にできていた曲です。
元の題名は「大丈夫」。
セカンドアルバムのオープニングにふさわしい、爽やかな曲です。
なぜ「大丈夫」から「虚言症」に変わってしまったのか?
それは、この曲を歌う時に、今ではもうこの歌詞がなんか「嘘」を一生懸命歌っている感じになってしまったからだそうです。
歌詞の内容は、「君を想う私は、独りだけど、大丈夫!」って感じの内容です。
高校生当時の林檎さんの強い立場を表しています。
もちろん、是すら今では、「椎名林檎」としては、「嘘」です。
浴室
<検証>
ハウス系テクノポップ@ピコピコ風な曲です。
椎名林檎さん自身、このアルバムで一番好きな曲で、
これがすべてらしい!!!
本能と対称した、誇張した歌詞。
「愛」と「死」の関係を上手く表し、
林檎さん自身、一番いい答案をしていると想います。
なお、「浴室」のタイトルの由来は、お風呂にはっている時が、一番の「安らぎの根源」(=生と死)を得られるからだそうです。
●ジッポ=100円ライターとは違い、油(オイル)を入れて使用する。
       ジッポライターの特徴は、ふたを開けるときの独特の金属        音としぐさの格好良さである。
●嗚咽=(おえつ)息を詰まらせるように泣くこと。むせび泣くこと。
弁解ドビュッシー
<検証>
この曲は、1999年夏で出来上がったファンクな曲です。
この曲が出来る背景には、「ドビュッシーが好き!」と言った林檎さんが、なぜか異質な感じに受け止められて、
それを弁解しようとして出来た曲なんです。
ですので、歌詞のいたるところに「言い訳=弁解」がたくさんでてきます。
●ドビュッシー=フランス生まれ。作曲家。
           20世紀始めに「印象主義、印象派音楽」を
           確立した音楽家。
           代表作に「牧神の午後への前奏曲」「海」「月の光」
●チョーキング=ギター奏法の基本的手法。ピッキング後、押さえて            いる弦を押し上げて(下げて)音程を
           変化させる奏法。
●ラビッシュ=(英 rubbish)ゴミ、くず、廃物。
ギブス
シングル版を参考にしてください
闇に降る雨
<検証>
ストリングス(バイオリン)が素晴らしいです。
こんなにも力強く、また儚く、
そしてどこか懐かしいオープニングでもあります。
曲は、R&B風な曲になっております。
林檎さん曰く、この曲のイメージは「森昌子」さん的な曲だそうです。
テーマは「好きな人が死んだ後、あなたはどうしますか?」
アイデンティティ
<検証>
インストアライブ、先エクではおなじみのナンバー。
ファンからのシングルカット要望が強かった曲の一つです。
曲・歌詞とも解説する必要がない曲です。
聴いた直の感じをそのまま受け止めましょう♪
●アイデンティティ=自己同一性。
             自分とはこのような人間であるという
             明確な存在意識。
             自分とは、一体誰なのかを確かめる存在理由。
罪と罰
シングル版を参考にしてください
ストイシズム
<検証>
アルバムにおける休息の曲です。
MMでは、「積木遊び」にあたる曲になります。
もういたるところにお遊び感覚があっていい感じです。
きちんとした歌詞(ネタバレ)を知りたい人は、おまけをご覧下さい♪
●ストイシズム=(英 stoicism)哲学用語で、欲望を超越して、
           感情に動かされず、厳粛な態度で生きていく生き方
           ちなみにストイックとは、禁欲のこと。

月に負け犬
<検証>
この曲も昔にできていた曲です。
今まで自分自身のことを「あたし」「私」などが多かった林檎さんだが、
今回ははじめて「僕」という人称を使っている。
「僕」と称している理由は、この人物が、
ホントのあたしじゃないことを強調したかったらしいです。
曲は、バラードタッチのシンプルなもので、
バンド編成もオーソドックスです。
もちろん、Bonnie Pinkの「犬と月」とは関係ない(笑)
サカナ
<検証>
18歳の彼氏がいない時に出来た曲です。
この時期のちょっと後に出来た「歌舞伎町の女王」「果物の部屋」などは、イメージが一緒らしいです。
虚構と現実、悦楽と廃頽、堕落と性欲、男と女などが寄り合うバー的なイメージがありますが、
林檎さん自身、当時それが大嫌いだったそうです。
病床パブリック
<検証>
「丸の内サディステック」らしい名詞乱発の曲です。
これは、まさに1999年2月頃病床にいたときに出来た作品。
まさにその時の様子を自嘲した歌詞です。
●パブリック=(英 public)公衆的。公的。公共的。
●レスポール=Gibson製のエレキギター。
●ジャガー=イギリス製の高級車。
●頽廃=退廃の古語。
●Y染色=人間の遺伝子(DNA)性染色体は、X染色とY染色が対と 
       なっており、23組46本である。
       なお最後がXXの場合は「女性」、
       XYの場合は「男性」になります。
本能
シングル版を参考にしてください
依存症

<検証>
13曲目、ラストにふさわしい曲です。
この曲の背景には、林檎さんが東京という大都会に来て、
突然、その都会に「君が思っていることを言ってごらん、さぁ」と
強迫観念みたいのを感じて書いた曲です。
歌詞のいたるところに都会の日常が描かれ、それを批判し、
それに自己防衛(依存)をしている自分は病気なのか?
問いかけてます。
最後の2行の詩は、悲しい皮肉以外なんでもないです。
ところで、この曲は、
販売直前になって歌詞が一部削除された曲です。
削除された歌詞は、
<黄色い車の名は「ヒトラー」>の「ヒトラー」です。
●シャーベッツ=林檎姫が好なく募う表現者、
           ベンジーこと、BJCのヴォーカル、
          浅井健一の別ユニット“シャーベッツ”を指します。
●レッグカフ=ダブルロックで足専用の足錠。以下図を参照
             

●天鵞絨=ビロード、綿、絹、毛、などで織って毛を立てた
        やわらかくてなめらかな織物。ベルベット。